特別講演会

  • 2020年10月24日(土)13:00-15:00 Zoomによる講演会をYouTube でライブ中継します。各講演に関連したご質問も受け付けます。
  •  参加(視聴): 終了しました。
  • 録画を11月30日までアーカイブ公開します。終了しました。

13:00-13:40

人生100年時代を元気で乗り切るために
-健康長寿 鍵は“フレイル予防”-

飯島 勝矢(いいじま かつや)
高齢社会総合研究機構・機構長 兼 未来ビジョン研究センター教授

 

人生100年時代とも言われる中で、いつまでも自立して元気にいたいものです。そこに新概念「フレイル(虚弱)」が従来の健康増進~介護予防の流れに新しい風を入れようとしています。ヒトは自然の老いのなかで「健康⇒フレイル(虚弱)⇒要介護⇒終末期⇒看取り」という一連の流れを辿っていきます。このフレイルをいかに喰い留めるのかが鍵になりますが、大規模研究の結果、様々な負の連鎖を起こして自立度が落ちていくことが分かってきました。しかも、新型コロナ問題においても、過剰に恐れるあまり外出を控え、生活不活発および社会や人とのつながりの断絶、それによるフレイル状態の悪化にもつながっている現実があります。

このフレイルには多面性(身体・心理/認知・社会性)があり、自分自身のなかでも包括的な意識を持つ必要があります。すなわち、フレイル予防の3つの柱である「栄養(食と歯科口腔)・身体活動(運動や非運動性の活動も含む)・社会参加~人とのつながり」を顕著な機能低下になる前から意識を高め、より多くの方々との交流をしながら、日常生活の中に継続的に取り組むことが重要なのです。


本講演では、健康寿命の延伸につながる最新知見も盛り込みながら、我が国日本の現状と今後のヘルスケアの見据える方向性をお伝えしたい。

講演イメージ画像
飯島 勝矢
飯島 勝矢
プロフィール
1965年千葉県市原市生まれ
1990年東京慈恵会医科大学卒業
同 年千葉大学医学部附属病院循環器内科入局
1997年東京大学医学系研究科加齢医学講座医員、助手
2002年米国スタンフォード大学医学部研究員
2005年東京大学医学系研究科加齢医学講座講師
2016年東京大学高齢社会総合研究機構教授
2020年東京大学高齢社会総合研究機構 機構長 兼 未来ビジョン研究センター教授

主な研究分野
老年医学~高齢者医療、総合老年学(ジェロントロジー) ①フレイル予防研究、②在宅医療介護連携を軸とする地域包括ケアシステム構築、③総合的なまちづくり課題解決型実証研究(アクションリサーチ)
内閣府・一億総活躍国民会議 有識者民間議員
日本学術会議・老化分科会メンバー
13:40-14:20

新型コロナと社会の共生の行方
ー 位置情報から見る人々の行動変化 ー

柴崎 亮介(しばさき りょうすけ)
空間情報科学研究センター 教授

 

2月から始まった新型コロナウィルスの感染拡大により、生活は大きく変わってしまいました。在宅勤務が増え、外出が減り、海外旅行は全くなくなり、その一方で、音楽イベントやスポーツ教室が閉鎖され、そこで働く人たちの雇用に大きなインパクトが出ています。また、店舗やレストラン、ホテルなどの売上げも激減しています。 しかし4月をピークとして感染者数は減少し、6月は一度緊急事態が終了、人々の行動はまた多少、復活しました。

その後、7月から8月にかけての流行の第2波では第1波を数倍上回る感染者数が出ているにもかかわらず、人々の行動は全体として元の水準に徐々に戻りつつあるように見えます。しかし、新聞では経済や雇用には相変わらず大きなダメージが続いていると報じられています。携帯電話の位置情報を利用した大規模な行動解析から、感染の広がりに対する人々の行動変化を詳細に明らかにします。また人々の行動の変化、特に外出の減少は繁華街にお金が落ちる機会を明らかに減らしますから、インパクトの大きさは地域によってもずいぶん違うはずです。

新型コロナによる社会経済的なインパクトを地域毎に読み解き、これからの対応のあり方について検討します。

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柴崎 亮介
柴崎 亮介

プロフィール

1980年東京大学工学部土木工学科卒
1982年東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻終了
1982年建設省土木研究所
1986年工学博士(東京大学)
1988年東京大学工学部助教授
1991年東京大学生産技術研究所助教授
1998年東京大学空間情報科学研究センター教授~現在

主な研究分野
位置情報による人間活動解析やモデリング、衛星画像を利用した都市・地域解析、情報銀行、社会インフラの社会・経済インパクト分析など

 

14:20-15:00

オンラインの自然に人は興味を抱いたり癒やされたりするのでしょうか?
ーインターネットの先にある本物の自然「サイバーフォレスト」ー

斎藤 馨(さいとう かおる)
新領域創成科学研究科環境学研究系自然環境学専攻 教授

 

ステイホームな暮らしの中、ふと遠く離れた森の音をライブで聞けるなら、なにが聞こえてくるでしょう。東京大学サイバーフォレストはパソコン、スマホ、タブレットで森の音を聴くことができます。自宅にいてオンラインで遠隔の森との「ふれあい方」を、実演を交えてお話しします。

「鳥がうるさいほど」「静かでつまらない」「家と同じような雨音」「あちらは暴風雨みたい」「こんな真夜中に鳴いている」などと感じたりするでしょう。遠隔の今の森には聞き慣れた雨風や鳥と虫の音や、聞いたこともない音などの発見があります。ライブ自然音に、癒やされる人もいれば、単調でつまらない、聞き慣れない音で不気味で不快な人もいます。しかし様々な鳥がさえずる春の早朝は、多くの人が楽しそうに聞きます。鳥たちは繁殖期のまっただ中で懸命にさえずっているのに、人はのほほんと癒しに感じるとはおもしろいですね。

サイバーフォレストは無人マイクカメラを各地の森や海に設置してライブ配信と録音公開をしています。録音は場所と年月日時分を指定して聞けます。夜中にトラツグミ、ムササビ、フクロウが聞こえますが、録音で確認できてもライブで聞けるとうれしくなります。

柏キャンパス一般公開では斎藤研究室展示でもサイバーフォレストがありますし、インターネットを検索すればFacebookグループや、シンポジウムやワークショップの企画もありますので、どうぞよろしくお願いします。

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斎藤 馨
斎藤 馨
プロフィール
1955年新潟県長岡市生まれ
1981年新潟県林長岡高校卒業
1981年千葉大学園芸学部卒業
1983年東京大学大学院農学系研究科修士課程(林学)修了
1986年東京大学大学院農学系研究科博士課程(林学)単位取得退学
1986年[環境コンサルタント](株)プレック研究所入社
1989年東京大学農学部附属演習林助手
1994年東京大学農学部附属演習林講師
1995年東京大学大学院農学生命科学研究科助教授
1999年東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授
2010年現職

主な研究分野
サイバーフォレスト、造園学、森林風致計画学、自然環境景観学